紫式部や清少納言値は違い「百人一首」の詠み人の1人ではないものの、
生前に様々な作品を残している藤原道長の主な和歌一覧。


 



一番有名なもの

この世をば
我が世とぞ思ふ
望月の
欠けたることも
なしと思へば”
 

「望月=満月」

解釈のずれはかなりあるものの
"(私は)欠けている部分のない完全な満月のような存在で、
この世の中に私の思い通りにならないものはない(すべては私の意のまま)"

というような意味。
 


*道長の王様は質・強引さ・わがままな性格がモロに出た作品。
あらゆるものを手に入れたのち出家する前年にあたる、1018年の作品。


こういった性格である以上、
"道長に作品制作のお金を出してもらっている/雇ってもらっている"
という弱い立場の紫式部
に対してしつこく関係を迫り
それに根負けした式部が道長の愛人状態であった可能性はあり得る話。

そのため「紫式部=道長の愛人(性被害者)」説は消えない。

 


「この世をば」はいつの作品?
  • 出家する1019年の前年にあたる、1018年の作品。
 


1008-1010年に書かれた紫式部の日記「紫式部日記」収録

白露は
分きても置かじ
女郎花(をみなえし)

こころからにや
色の染むらむ
 

のちの新古今和歌集にも収録。

紫式部に対し強引に歌の返しをもとめ、
式部は歌を詠む。

それに対する返しの歌で
謙虚な式部を励ますような歌とされる。
 

夜もすがら
水鶏(くひな)よりけに
なくなくぞ

真木の戸口に
叩きわびつる
 

ある日の夜、式部の寝ている部屋の前まで来て、
戸を叩き続けるも一晩中戸はあかず、
目的を達成できなかった恨みを、
比喩を使って意中の式部本人に向けた読んだ作品。

「雇い主」という意味で明確に立場の強い道長が
立場の弱い式部をなんとかして
思い通りにしようとしていた事があからさまな歌
として
現代でも注目を集める。

それに対して式部は彼の好意/下心を
軽くあしらうような歌を返した。

 


ちなみに、紫式部日記の原文で式部は道長を「殿」と呼んでおり、この呼び方にも明確に立場の強弱が伺える。

 


1086年頃成立「後拾遺和歌集」収録 5作品

017

詠み人名
入道前太政大臣
 

君ませと
やりつる使
来にけらし

野辺のきぎすは
とりやしつらん

 

*「きぎす」はキジという鳥の事。
宴会料理の食材としてキジを獲ってくるように命じたが
その家来はキジを捕まえられたかどうか心配するうた。
 

416


詠み人名
入道前太政大臣
 

おなじくぞ
雪つもるらんと
思へども

君ふる外は
まづぞとはるる
 

*仲良しの公任に関する歌
 

1103


詠み人名
入道前太政大臣

 
万世(よろづよ)を
君がまもりと
祈りつつ

太刀(たち)作り柄の
しるしとを見よ

1108


詠み人名
入道前太政大臣
 

もろかづら
二葉ながらも
君にかく

あふひや神の
しるしなるらん
 

*ひとつ前の1107に対する返し
 

1112


詠み人名
入道前太政大臣
 

若葉つむ
春日の原に
雪ふれば

心づかひを
今日さへざやる
 

*道長の長男・頼通が、公任に対する「使者」として
きちんと役割を果たしているのか心配するうた。

 



1151年「詞花和歌集」収録 1首

161


詠み人名
入道前太政大臣(道長)


 

君が代に
あぶくま川の
そこ清み

千年(ちとせ)を経つつ
すまむとぞ思ふ
 

*彰子が産んだ敦成親王を産んだ
1008年の作品。
 




平安時代末期の「千載和歌集」収録の3作品

959

詠み人名
法成寺入道前太政大臣(道長)
 

かぞへしる
人なかりせば
奥山の

谷の松とや
年をつままし
 

*晩年に還暦を迎えた時、
祝ってくれた娘の彰子(上東門院)に対する感謝のような作品
 

1061

詠み人名
法成寺入道前太政大臣(道長)
 

谷の戸を
とぢやはてつる
鶯の

待つに音せで
春の暮れぬる
 

*親しい藤原公任の事をうぐいすに例えた歌
 

1100


詠み人名
法成寺入道前太政大臣(道長)

 

いにしへは
思ひかけきや
とりかはし

かく着むものと
法(のり)と衣を
 

*仲の良かった藤原公任が出家して仏門入ったのち
僧侶としての服を贈った時の作品
 


鎌倉時代初期成立「新古今和歌集」収録 5首


1045

詠み人名
法成寺入道前摂政太政大臣(道長)
 

時鳥(ほととぎす)
声をば聞けど
花の枝(え)に

まだ文(ふみ)なれぬ
ものをこそおもへ

 

*まだ文を贈り馴れていなかった
青年期に詠んだうた
 

1481


詠み人名
法成寺入道前摂政太政大臣(道長)

 

唐衣(からころも)
花のたもとに
脱ぎかへよ

われこそ春の
いろはたちつれ
 

*道長の出家直後の時期に
彰子に対して地味なものではなく
移しい着物を着るようにアドバイスするうた。
 

1566


詠み人名
法成寺入道前摂政太政大臣(道長)

白露は
分きても置かじ
女郎花(をみなえし)

こころからにや
色の染むらむ
 

1565の紫式部の歌
に対する返し
(それぞれ紫式部日記収録)
 

1709

詠み人名
法成寺入道前摂政太政大臣(道長)

 

馴れて見し
花の袂を
うちかへし

法(のり)の頃もを
たちぞかへつる
 

道長の日記
「御堂関白気」収録

 

1928


詠み人名
法成寺入道前摂政太政大臣(道長)
 
わたつ海の
底より来つる
程もなく

この身ながらに
身をぞ極(きは)むる



続古今和歌集収録 1首


718


詠み人名
入道前摂政太政大臣(道長)
 
そのかみや
祈りおきけん
春日野の

おなじ道にも
尋ね行くかな
 








 

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