【読書の力】 名言集,電子書籍&雑誌情報etc

江戸時代中期から後期にかけて存在した
「小説」系作品の主なジャンル一覧と、それぞれの意味・特徴・流行った時期の紹介。

参考文献
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/
国文学研究資料館
https://kokusho.nijl.ac.jp/?ln=ja
その他
https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc15/jidai/bunka/bu1.html
 

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草双紙と読本(対義語的/総称に近いワード)

 

ジャンル	特徴など	代表作
草双紙 (くさぞうし)	明確に「絵」がメイン。 文字は小さく、ページの端のほうにある。 ひらがなばかりを使う事も特徴。 あまりにも絵が目立つという意味で 現代でいうところの「漫画」的。 あるいは絵本に近い。 [小分類] 赤本(表紙が黄色)・・・・子供向け 黒本(表紙が黒)・・・・・女性向け 青本(表紙が青)・・・・・女性向け 黄表紙・・・・・大人向け	山東京伝 「江戸生艶気蒲焼」 恋川春町 「金々先生栄花夢」
読本 (よみほん)	草双紙とは対照的に 文章がメイン(挿絵もわずかにあり) 漢字を多用 わずかに挿絵あり、 という意味では「ライトノベル」に近い。 1700年代後半に関西で流行り、 1800年代に入ると江戸で流行。 といったように「ページを見る」だけでは 読解できず「読む」という行為をしないと内容がわからない。   [総称からジャンル名に] もともとは草双紙に対した総称系ワードだったが その後、国内外の「歴史」が関係しているうえに 「怪奇」「伝奇(不思議)」「幻想」的な 要素を含む小説を指すようになる	怪奇系 上田秋成 「雨月物語」 伝奇系 滝沢馬琴 「南総里見八犬伝」

 

洒落本/滑稽本/人情本

	概要/特徴	代表作
洒落本 しゃれぼん	「遊郭」に関連した文学で 遊女や彼女達と遊ぶ客などが登場。 遊郭が舞台という意味で男性向け。 文章が中心で「会話」で物語を進行させる。 当時の老中である松平定信が 1787年から1793年にかけて「寛政の改革」を行った中、 風紀の乱れを正すため 1790年(寛政2年)に「洒落本禁令」が出され、 発売・流通禁止になり、罪に問われる作家も出た。 その後、一旦復活するも1800年代前半に姿を消す。	山東京伝 「通言総籬」
人情本 にんじょうぼん	アダルト要素があって規制が入った 遊郭文学の「洒落本」の後継的なもの。 1830年代頃から半ばに流行。 文章が中心。 江戸の庶民の人情や葛藤を描いている点が呼称の由来。 そして主に女性向けで ラブストーリー系が多い。	為永春水 「春色梅児誉美」
滑稽本 こっけいぼん	1800年代前半に江戸で流行った小説ジャンル。 文章が中心で、洒落本同様に 「会話」を通じて物語を描くのが特徴。 「滑稽=面白い事/笑える事」 というような意味合い。 主人公である江戸庶民の日常を、 風刺をきかせながら 面白おかしく描いたようなもの。 そういった意味で大衆性が高い。 (寛政の改革以降は風刺要素を除去した、 滑稽/おもしろ系作品に転化/移行) 代表作である「東海道中膝栗毛」は まさに「ギャグ小説」などと称される、 面白おかしい作品。	十返舎一九 「東海道中膝栗毛」 ↑まさに代名詞的存在 ＊この作品は江戸自体の 庶民で起こった 旅行ブームの火付け役 とされる   式亭三馬 「浮世風呂」